未来を見据えたスタートアップ支援
令和4年6月の一般質問の詳細を再度取材した上で、再構成してお届けします。
経済財政運営と改革の基本方針2022、いわゆる骨太の方針が示されました。政府の経済財政政策の基本方針を定めた文書で、年末の予算編成に向けた国の政策方針です。骨太の方針の新しい資本主義に向けた改革の中で、スタートアップ=新規創業への投資が示されており、5年で10倍増の目標に向けスタートアップ育成5ヵ年計画を年末に作成することになっています。5年で10倍。投資が増え、技術やアイデアを持った人たちが創業・起業をしたいと思うことが多くなっていくことは間違いありません。そこで、今回は岸田総理大臣がスタートアップ創出元年として支援強化を表明したことに関連して、これまでの起業支援に加えて武蔵村山市としてできる支援について議論しました。
【市長答弁】
令和3年度に策定いたしました「武蔵村山市産業振興ビジョン」に基づき、すでに市内で活動されている事業者に対しましては、新規事業の創出や販路開拓を支援するために、ビジネスマッチング会の実施等を検討してまいります。また、新たに創業を希望する方に対しましては、空き店舗等を活用した創業支援や、チャレンジショップ等の整備のほか、国や他自治体の動向を注視しながら、スタートアップ支援についても検討してまいります。
この質問に対する答弁の注目している点は「国や他自治体の動向を注視しながら、スタートアップ支援についても検討」という市長の前向きな姿勢です。具体的な政策については、今後検討される中で、3つの提案をしました。
スタートアップ支援提案3項目
- 民間の提案に基づき、もしくは民間からの提案を受け、民間と行政で実証実験をして課題解決に取り組んでいる自治体がある。民間から積極的に受け入れられるような市役所にすることで、スタートアップ支援を推進することになるのではないか?
- 市内にも新たなビジネスモデルや商品、サービスを考えている人がいる。そのためのインキュベーション施設の設置
- スタートアップと市内企業のマッチング。スタートアップは既存企業を必要としている場合もある。マッチングも考えられるがどうか?
実証実験の受入
民間と行政で実証実験をして課題解決に取り組んでいる自治体があります。その一つ、静岡県浜松市で地域課題の解決に向けて民間からの提案を受け、実証実験を通じてスタートアップの支援につなげる事業が実施されています。武蔵村山市も今後、このような先進事例や国等の状況も参考にしながら、スタートアップの支援について検討する予定です。浜松市は私自身、現地で話を伺ってきました。この実証実験を受け入れるというのは、東京でスタートアップの起業家に話を聞いても非常に有用であると考えています。
インキュベーション施設・サテライトオフィスの設置
市内にも新たなビジネスモデルや商品、サービスを考えている人がいます。そのためのインキュベーション施設やサテライトオフィスの設置について、協働推進部長によると、「令和3年度に策定いたしました武蔵村山市産業振興ビジョンでは創業支援の主な取組といたしまして、チャレンジショップ等の整備の項目で、「インキュベーション施設の誘導も含め多様な可能性から支援策を検討」することとしております。スタートアップ支援も含め、創業支援施策を進めていく中で、インキュベーション施設は重要であると考えております。」とのことです。
市が今後さらに起業・創業支援、スタートアップ支援に積極的になることにより、その熱量は市民、そして起業家へと伝わることになり、施設の設置の重要性は増していきます。コロナ禍の2年間でテレワークなどが進み、各地のサテライトオフィスやコワーキング施設で仕事をする姿が見られました。武蔵村山市には、そう言った施設の有無に関しての問い合わせはなかったということですが、コワーキング施設の設置は今後の仕事の仕方にも影響すると考えています。
スタートアップと市内企業のマッチング
スタートアップは大きな設備などを持てないので、技術を持った既存企業を必要としています。スタートアップと市内企業のマッチングは、既存企業・スタートアップ・武蔵村山市それぞれにとって成長の一歩となり、それぞれを成長させることにとどまらず、モノやヒト、サービスがさらに動き活性化することで武蔵村山市を大きく前進させることになるでしょう。
産業振興ビジョンの中でも交流・連携の主な取組として「ビジネスマッチング会の開催」を検討していくことになっています。協働推進部長も「ビジネスマッチング等の実施に当たっては、事業者の事業内容を把握している必要があると考えております。今後、商工会や金融機関等の関係機関とも連携しながら、先進事例なども参考に、マッチングを希望する事業者に関する情報収集方法や、マッチング事業について検討を進めてまいりたいと考えております。」としています。マッチングを進めるためには、市内の企業がどんな仕事、どんなサービスやモノを作っているのか、知っている必要があります。ただ、行政が持っている事業者の情報だけでの対応は難しいとのことで、マッチングを希望するスタートアップや事業者と市内企業との調整を行うコーディネータなどの配置も必要と想定もしており、現状、課題はあれど、商工会や金融機関、東京都中小企業振興公社等の関係機関と連携をしながら、ビジネスマッチングについて検討したいということでした。市内既存企業について行政がさらに関心を持っていく必要を感じています。
スタートアップ起業家が起業しやすい環境づくりが必要
調べたところ、スタートアップという言葉が議会で出てきたのは初めてです。通告をして、担当部署の皆さんには方々調べていただいたと思います。市長答弁では「検討していく」ということでありました。
今回、「骨太の方針」に合わせた一般質問だったので、今後、検討していただくことになりますが、新たなビジネスを創出するマインドを持った人たちを長期にわたって集められる環境づくりを考えていただきたい。
今回、この質問をするにあたり、浜松市の鈴木康友市長、経済産業大臣政務官の岩田和親衆議院議員にお話を伺い、2ヶ所のワークスペースの視察、2人のスタートアップ起業家にもインタビューをさせて頂きました。今後も起業家を支援するべく、調査を進め、市側に提言していきたいと考えています。