令和3年12月の一般質問を元に解説などを入れて再構成してブログにしました。5分程度の読み物としてお楽しみください。
寄附者の気持ちを生かすふるさと納税について
私自身、ふるさと納税はしていませんが、HPなどで他市の例を見ると、なるほど自分の自治体を生かした項目、返礼品を掲載しているのを見かけます。武蔵村山市も武蔵村山病院のPET診断を返礼品に入れるなど、その地域資源をうまく使っていると考えています。ただ、地域資源はもっとあります。そこを生かして欲しい、結果的に地域にお金が回り地域活性化につながる、と考えています。
4,000万円のふるさと納税赤字
年末は確定申告の区切りになるので「ふるさと納税」の情報が溢れていました。武蔵村山市のふるさと納税に対する考え方は「自分を育んでくれた「ふるさと」に自分の意思で納税することができる制度」としています。とはいうものの、令和2年度で市民が他市等へ寄附したことによる税額控除額、簡単にいうと他自治体に流出した額は約5,860万円、武蔵村山市のふるさと納税額は約1,770万円、その差、約4,000万円分が財政収支で赤字となります。ふるさと納税の減収分は地方交付税で一定額補填(ほてん)されることになりますが、全てではなく、やはり財政に影響を与えることになります。酒・米・肉などの農産物には敵わない、と言われているふるさと納税ですが、まだまだできることがあるのではないでしょうか?
自分の意思でできる納税制度だからこそ
現在、寄付区分は「多摩都市モノレールの走るまちづくりを応援」や令和2年度に追加した「新型コロナウイルス感染症対策を応援」など10区分。少々ざっくりとしているため、どんな事業に使われるのか、が納税のタイミングではハッキリしません。何に使われるのだろう?そこをはっきり明示してみるのも一つの考え方かと思います。「いやいや、健ちゃん、そこは返礼品があれば良いんじゃないの?」と仰る方もいるかもしれませんが、ふるさと納税した税金がどこに使われるのか?は「自分の意思で納税できる制度」であれば尚更必要じゃないかと。ただ、寄附者の意向に応じて、特定事業に対する寄附もできることから現時点では、更なる細分化は考えていないと言うことです。そうは言っても、特定事業に対する寄附も手続きが面倒なところがりますから…。
返礼品はモノだけでなくてコトで
さて、返礼品については、地方税法等の一部を改正する法律の施行により、ふるさと納税に係る指定制度が創設され、指定を受けるためには、法律及び総務省が定める基準に適合することが必要で、返礼品を提供する場合には、返礼品の返礼割合を3割以下とすることや返礼品を地場産品とすることなどが必要となります。3割以下や地場産品という規定は大阪・泉佐野市のふるさと納税が報道されました。酒・米・肉などの食品や雑貨などのモノ以外にも、いわゆる役務の提供なども良いとされています。武蔵村山市でも武蔵村山病院のPET検査や村山温泉かたくりの湯の食事付き入浴券の返礼品があります(PET検査は現在提供中止)。商品の所有に価値を見出す消費傾向を「モノ消費」、商品やサービスを購入したことで得られる体験に価値を見出す消費傾向を「コト消費」といいます。PET検査や入浴券はコト消費となる訳で、コト消費を増やしてみてはどうかとの問いに、市は「今後充実する必要がある」としています。この時間消費型の返礼品は人口の多い都市部にピッタリなんじゃないかと考えています。できるかどうかは別として、ネイルやエステもいいですね。納税者からすれば納税+美容、サロンからすれば新たな顧客開拓、お金が回り地域活性化につながります。そこで、一般質問ではいくつか寄付区分(事業)と返礼品をセットで提案してみました。
例)文化財補修などは地域からの要望が多い。地域の皆さんにも「ふるさと納税」を活用していただいて文化財補修に活かしていく。(市内在住の方には文化財補修が返礼。なので返礼品は無し)この記事の元となる一般質問をした2021年12月7日付の読売新聞朝刊には「文化財修理…の資金が足りません」という記事があります。限定記事ですが載せておきます。どの自治体でも文化財補修に予算がつけられない、そんな状況が見受けられます。
例)武蔵村山出身だが遠く離れて暮らすみなさんに向けて、お墓の掃除を返礼→墓石屋さん、花屋さんに掃除を依頼する(結果的に、武蔵村山につながりをもってくれることになる)
例)武蔵村山市内に土地を持っている方に向けて除草作業を返礼→造園業さんやシルバー人材センターの会員の皆さんに除草などを依頼する。(結果的に、環境・まちづくりに関する寄付)
例)市内に空き家を持っている人に向けて空き家管理を返礼→不動産屋さん(結果的に、まちづくりに関する寄付)
例)周辺市にお住まいの皆さんに向けてネイルやエステの返礼→ネイルやエステサロンを経営している事業者さんに(事業者の活性化)
地域活性化を視点にコト消費まで広げて返礼を考えるとさらに広がっていきそうです。協力事業者は市内の中小企業・個人事業主、そして障害者団体でも良いですね。できるものから具体化してほしいと要望しています。受けてくれるかは別として多くの接点を作っていくことが大切です。
ふるさと納税と地域活性化は同時に考える
読売新聞に「ふるさと納税自販機で 那須町 返礼品その場で受領」の記事がありました。多くの接点という観点からすればいろんなアイデアが出てきますね。市内の中小企業者がふるさと納税に関与することで地域に回るお金が増え、また除草が定期的にできていない土地、管理が行き届かない建物の所有者には遠方からでもまちづくりに関与していただくことができる。多くの事業者に関わっていただいた方が良いのではないか?と感じています。地域の方には寄附することで、地域の文化財を通して地域の活性化にさらに関与していただくことができ、三方よし。「モノ消費とコト消費」言い換えると「返礼品と返礼事」でふるさと納税を考えてみました。
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