東京都が調査した15年を振り返り、さらにより良い学校教育にするには
2021年6月の一般質問の議論内容をもとに再構成しています。
15年間続けられた「東京都の児童・生徒の学力向上を図るための調査」が終了しました。子どもたちの学力を図るとともに、先生の指導方針や指導力を上げるために行われてきた調査です。本来は昨年度までとなっていましたが、コロナ禍、最終年度は調査されずに終了しました。
15年の調査の中で、最後の6年間、その結果について結果と課題、それを踏まえた指導方針を伺ってきましたが、状況としては横ばいが続いています。子どもたち、先生、教育委員会、それぞれが努力されていることは間違いありませんが、やはり誰もが望んでいるのは学力向上です。今回は武蔵村山市の子供達の学力向上に向けた取り組みのお話です。
15年間の「東京都の児童・生徒の学力向上を図るための調査」の実績は、東京都の平均正答率を基準(100%)とした時、市内小・中学校全体の充足率(平均正答率にどのくらい達しているか?)は各教科70〜90%台を推移していました。詳細を見ると小学5年から中学2年に進級していく中で、充足率が伸びているという状況も見られていました。現状では「思考力及び基礎的・基本的な知識及び技能面で課題」が見られる状況です。これは、私が一般質問してきた6年間でも同様の答弁となっています(教育長答弁はこちらをご覧ください)。
教科書例題レベルの問題を確実に解ける力を
もう少し詳しく見ていきましょう。 調査方法の変更があったので、平成23年度から令和元年度まで9年間の算数・数学を例に見てみます。小学5年では東京都平均に対して80〜70%の充足率で推移、中学2年生では90〜70%の充足率で推移しています。一方、「関心・意欲・態度」「数学的な考え方」「技能」「知識理解」の観点別にみても、充足率100%を超えるものがない状況です。
児童・生徒の正答数の分布を見ると、満点をとる児童・生徒もいますが、学力層をA・B・C・Dの4段階で分けた場合、小学校ではC・D層の分布が多く、中学校ではC層の分布が多くなっていることを教育委員会では課題と考えています。例えば、令和元年度の小学校の調査問題で「小数÷整数」の計算ができるかを問う問題が出題されていますが、市内の正答率は13.7%で、充足率で見ると31.7%となっています。この問題のように教科書例題レベルの問題ができる力を身につけさせることが最優先であると考えています。
この実績や現状、課題について、市内小・中学校の教員は、一人一人の子供の学習の達成状況や誤答の傾向などを把握し、全体指導や個に応じた指導方法の改善に努めています。また、学力向上推進委員会の中で、学力調査等の結果を踏まえた研究を進めており、思考力及び基礎的・基本的な知識及び技能を習得させるための指導力を身につけ高めていくことが大切であると捉えて、教材研究や学習指導等に取り組んでいるということです。
GIGAスクール構想を最大限活かす取り組みを
一方で、学校での授業を取り巻く環境は変化しています。先日もブログに書いたGIGAスクール構想もその一つで、タブレットPCが小・中学生に一人一台配布されています。この端末を活用することで、子供の成長段階や習熟度に合わせて、対応した学習を進めることができるようになります。教員・先生がその子に合わせた問題を出すことで、一斉に授業をしていても、個別に授業をしていても、難易度を変えることができます。個々に合わせた授業に向けてメリットを最大限に活かす方策を要望しています。
算数・数学を例に実績と現状を課題とともに追ってきました。ほぼ15年に渡り課題は変わらないというのが、現状です。その要因について複合的なものがあるのではないかという問いに、学校教育担当部長は「子供たちの学力向上に向けた課題や課題につながる要因、その改善策については、様々なものがあると考えております。本市で言えば、子供たちの基礎的学力の確実な定着が課題となります。本市の子供たちに基礎的な学力を定着させることは、教育委員会、本市に勤務する教師の重要な使命であると考えます。これらのことを踏まえ、教育委員会としましては、これからも、学習者の視点や教師の視点から、課題可決に向けての要因、改善策について、一つ一つ分析をしていきたいと考えております」と答えています。
今後は複合要因を分析
今回、15年間の実績と現状を分析した上で課題について報告を受けましたので、以前から要請しておりました複合要因について分析を進めていただくことにしています。その報告は改めて…。それと、国が行う学力テストは今後も行われますので、その報告はしていこうと思っています。
Leave a Reply