本格化してきた国が進めるGIGAスクール構想の市における取組
GIGAスクール構想が本格化してきました。小中学校の無線LANなどの整備に向けて補正予算も立てられ、今議会では児童生徒一人一台端末の整備について説明がありました。いよいよ「整備する」から実際に「使用する」ためにどうするかを考える時期です。市内小中学校での活用方法、そして、これ一番大事なところだと考えているんですが、毎日の家庭学習においての活用方法と家庭へのPCの持ち帰りの可否について伺います。
<教育長答弁>
GIGAスクール構想の意義については、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちの資質・能力を確実に育成できる教育ICT環境を実現することで、教師・児童・生徒の力を最大限に引き出すことであると認識している。
次に、市内小・中学校での活用方法については、1人1台端末のICT環境により、検索サイトを活用した調べ学習や一人一人の考えを共有し、学びを深める協働学習、個別の教育的ニーズや学習状況に応じた個別学習などを展開し、個別最適化された学びや主体的、対話的で深い学びにつながる授業改善に向けての活用を考えている。
次に、毎日の家庭学習での活用方法については、インターネットコンテンツを用いた個別学習の取組の充実、同時双方向型のオンライン学習への活用を考えている。家庭への持ち帰りについては、臨時休業等の影響で学校での学習が出来なくなった場合の学ぶ機会の確保やオンラインによる家庭での個別学習の充実、児童・生徒の情報モラルやインターネット活用ルールへの意識、家庭でのオンライン教育への対応状況などを踏まえた上で、持ち帰りによる効果的な活用について考えていく。
GIGAスクール構想?
まず、GIGAスクール構想とはなんぞや?ですが、1人1台のタブレットを含む学習用PC端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育環境を実現する構想です。簡単に書くと、「小・中学生に一人一台のPC端末を持たせて、学習に生かしてもらおう!」ということです。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言を受けて、早期実現することになりました。
現実社会と仮想社会を行き来しながら社会的課題を解決する
もうちょっと深くまで書くと、私が仕事をしたり日常生活を送る中で、ネットの世界である仮想空間と現実の社会である現実空間の情報を当たり前のように使っています。この仮想・現実の空間を利用して生活する我々は、今後ますますこの仮想社会と現実社会を融合させた空間で生きていくことになります。この仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決、両立する人間中心の社会をSociety(ソサエティ)5.0と言います。Society1.0を狩猟社会、2.0が農耕社会、3.0が工業社会、4.0が情報社会と位置づけ、 続く社会をSociety5.0と呼んでいます。内閣府によりますと、「Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服する。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服される。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となる」。このSociety5.0時代を生きる子供たちにとってICTは必須であり、ICT教育で次世代の人材を育てる必要もあります。
毎日の家庭学習でも使えるようにするなど数々の提案
GIGAスクール構想については推進するべきという視点に立って書いていきます。では、武蔵村山市内の小・中学校ではどのように活用されていくのか?というところが詰めて行かなければならない段階です。教育長の答弁によると「教師・児童・生徒の力を最大限に引き出すこと」、「個別最適化された学びや主体的、対話的で深い学びにつながる授業改善に向けて活用」することを考えているということです。当然、授業での活用方法などは詰めて行かなければならない点は多く、今後検討されることになります。
一方で、学校内で使うだけではそう多くの時間が取れるわけではありませんし、ここはコロナ禍で臨時休業となった経験を活かさなければなりません。今回、新型コロナウイルス感染症感染拡大による臨時休校が行われました。期間中、「課題をもとに家庭学習をしてください」ということになりました。ただ、授業ができたか?となればそれは「できていない」です。今後、いつ新たな感染症が蔓延し、臨時休校となるかは予測がつきません。オンライン授業をやるにしても、課題を出すにしろ、PCを使いこなせているか?ということが大事です。そのためには授業で使い慣れること、そして、普段から家庭で使い慣れていることが重要です。普段から持ち帰って自分のものとして使い慣れているからこそ、その先の展開が期待できるようになります。つまり、PCは道具なんです。学校で使っているだけではいざというときには使えない。その先を言えば、PCと通信環境があることが必須ですが、PCはオフラインでも使えます。道具としてのPC。もちろんプログラミング教育のためのPC、この先の臨時休校に備えたPC(インフルエンザに罹患してお休みになった時や学級閉鎖になった場合も使えるかもしれません。熱が下がってもすぐに登校できない場合には有用ですね)、普段からの家庭学習のためのPC、不登校の子供達の学習に備えたPC…授業のためだけのPCではないということをよく考えて方針を決めて欲しいのです。つまり、授業のためだけのPC端末という側面だけでなく、積極的に家庭学習でも使えるように家庭学習の面なども考えて行かなければなりません。
ICTを活用したオンラインによる家庭学習について教育委員会は、現在はウィズコロナの段階と認識しており、教員による対面指導とオンライン教育を組み合わせて行う「新しい教育様式」を実現する段階で、体制や環境を整える時期と認識しています。対面授業とオンライン学習の長所をどう活かしていくかなどについて検討しており、家庭での効果的なオンライン学習のあり方などについても検討に取り組んでいくということです。
また、授業のためだけのPCではなく、家庭学習の面などからも方針とルールを構築するという提案について、教育委員会は「対面授業とオンライン学習との融合などの観点に基づいて効果的な活用の方法」や「学校の端末を家庭等で使用する際のルールについては、現状もルールはあるものの、今後も状況に応じて検討・改善する」、そしてPCの持ち帰りによる効果的な活用について考えていくということです。
既に学校内の無線LAN整備や1人1台端末整備のための補正予算が可決された市内のGIGAスクール構想。今回の質問では構想の着実な進展に向け、私の提案に対しても前向きに検討する事項も多い印象でした。近いうちにランドセルや通学用カバンに教科書とPC、学校では授業で、自宅では家庭学習とで、子供たちのSociety5.0対応能力とともに子供たちの力が最大限に引き出されることを期待しています。
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