
9月定例会の一般質問で、「地域特性に応じた買物環境の維持・向上について」を取り上げました。
地域によって買物環境は違う
日常生活を送る上で、食料品や日用品を買うことは欠かすことができません。
武蔵村山市内には、食品スーパーをはじめ、コンビニエンスストア、食品専門店、食品を取り扱うドラッグストアなど、さまざまな店舗があります。
一方で、こうした店舗の立地状況は地域によって異なります。
今回の一般質問では、まず「買物環境は市内一律ではない」という点から議論を始めました。
500メートルという一つの目安
買物環境を考える際の一つの考え方として、農林水産政策研究所では「食料品アクセスマップ」を作成し、店舗まで直線500メートルという基準を用いて地域の状況を把握しています。
ただし、500メートル以内に店舗があれば、誰もが問題なく買物できるということではありません。
実際には、道路の距離や横断のしやすさ、坂道、歩道の状況、荷物を持って移動する負担、暑さ、店舗の営業時間や品揃え、自動車の利用、家族や近隣の方による送迎、宅配サービスの利用など、さまざまな条件があります。
また、食品スーパーが身近にある地域もあれば、コンビニやドラッグストア、地域の個店などが日常の買物を補っている地域もあります。
そのため、まずは地域ごとの店舗立地や人口などから買物環境を把握し、その上で、市民が実際にどこで、どのような方法で買物をしているのかという生活実態まで確認する必要があるのではないかと質問しました。
市長「買物環境の実態把握や分析を考える」
市長は、市内には利便性の高い地域がある一方、スーパーマーケット等の閉店により、一人暮らしの高齢者等が歩いて行くことのできる店舗が存在しない地域もあると認識していると答弁しました。
また、令和3年2月に実施した「武蔵村山市産業振興ビジョン策定のためのアンケート調査」では、店舗までの距離が遠いことに不便を感じていると回答した市民が約11%だったことから、地域に身近な店舗の存在が重要との認識も示されました。
さらに、当時の調査以降にも店舗が閉店した地域があることを踏まえ、
「今後、買物環境についてどのような方法で実態把握や分析を行い、その維持・向上を図ることができるかを考えてまいります」
との答弁がありました。
これは今回の質問の重要なポイントです。
この1年でもスーパーの閉店が続く
実際、私が今回の一般質問を提出してから議会で質問するまでの間にも、9月末で閉店するとのお知らせが掲示されたスーパーがありました。
この1年間だけを見ても、市民の徒歩圏、生活圏にあるスーパーが2店舗閉店しています。
買物環境は固定されたものではなく、短期間で大きく変わります。
だからこそ、早急な実態把握が必要だと考えています。
再質問① どの地域で何が起きているのか
最初の再質問では、店舗立地や人口などの既存データを活用しながら、実際の生活実態も含めて、地域ごとの買物環境をどのように把握・分析していくのかを聞きました。
協働推進部長からは、旧青梅街道沿いで閉店または閉店予定の店舗があること、市外ではあるものの村山団地中央商店街東側のスーパーも閉店したことを承知しているとの答弁がありました。
その上で、買物環境が変化している、または今後変化する地域があることから、実態把握や分析、維持・向上を考えていく必要があるとの認識が示されました。
現在の産業振興ビジョンは令和13年度までの計画であるため、すぐに同ビジョンのアンケートをやり直すのではなく、今後実施する自治会連合会のアンケートや農業振興計画のアンケートなどに、買物環境に関する項目を追加できないか、どの地域が困っているのかも含めて考えたいとの答弁でした。
私は今回、市内のスーパー、ドラッグストア、コンビニなどを地図上にプロットし、店舗から500メートル圏を重ねる簡易的な分析も行いました。
いわば「買物アクセスGIS」のようなものです。
まずはこうした既存データを地図上で重ね、地域ごとの買物環境を客観的に把握することから始めてほしいと考えています。
再質問② 今困っている人を置き去りにしない
実態把握や分析には時間がかかります。
しかし、その間にも、すでに日常の買物に不便を感じている方はいます。
そこで二つ目の再質問では、既存の宅配、移動販売、交通支援なども含め、短期的にどう対応していくのかを聞きました。
協働推進部長からは、市内スーパーの店長と移動販売について話をした際に、「移動販売よりも、個別に注文を受けるネットスーパーを優先したい」との考えが示されたことが紹介されました。
また、市から全国で移動販売を展開している事業者にも問い合わせを行ったとのことです。
その事業者は、個人宅への訪問を基本とし、軽トラックの荷台を商品棚として、利用者が実際に商品を手に取って買物を楽しむことのできる環境を提供しているとのことでした。
市内でも一事業者が移動販売を実施していることを、市は把握しています。
協働推進部長からは、高齢者等への対応では担当課や地域包括支援センターとの連携も必要とした上で、現在困っている方への短期的な対応としては、まず移動販売事業者につなぐことが一つの方法との答弁がありました。
ここは大切です。
分析を進めることは必要ですが、その間に「今困っている人」を置き去りにしてはいけません。
再質問③ 将来も買物できる地域をどう維持するか
三つ目は長期的な視点です。
個別の支援だけではなく、地域の商店、コンビニ、ドラッグストアなども含め、日常の買物環境そのものをどう維持していくのかを聞きました。
協働推進部長からは、スーパーマーケットの誘致については民間企業の採算性もあり、難しい課題との認識が示されました。
一方で、コンビニエンスストアやドラッグストアでも、農産物をはじめ生鮮食品を扱う店舗が見られることから、こうした店舗に協力してもらうことも買物環境維持の一つの方法ではないかとの答弁がありました。
また、ネットスーパーについても、今後AIなどの利用によって、高齢者でもより簡単に利用できる可能性があるとの考えが示されました。
そして、
「今できることは何か、地域特性に応じた持続可能な買物環境を今後どのように確保していくのかを考えてまいりたい」
との答弁がありました。
今回、ここまで答弁があったことは重要だと考えています。
買物環境はこれからさらに変わる
議場では、将来についても触れました。
令和7年の全国の運転免許返納者数は43万5000件余りとされ、2年連続で増加しています。
免許を返納する方が増えれば、これまで自動車で買物をしていた人の生活は変わります。
一方、武蔵村山市では、65歳以上人口は近年おおむね横ばいですが、80歳以上人口はこの10年間増加を続け、総人口に占める割合も5.6%から9.9%へ上昇しています。
さらにその先には、団塊ジュニア世代が高齢期に入ってきます。
だからこそ、今のうちから買物環境の実態を把握しておく必要があります。
将来は、スマートフォンで注文し、自宅まで商品を届けてもらうことが今以上に当たり前になっているかもしれません。
その一方で、宅配需要が増えれば、物流や配送を担う人材不足という別の課題も出てくる可能性があります。
買物環境の課題は、単に「スーパーを誘致すれば解決する」というものではありません。
人口、店舗、交通、デジタル、物流など、さまざまな要素を組み合わせて考える必要があります。
「答弁」で終わらせず、次につなげる
今回、市長からは、買物環境の実態把握・分析を考えていくとの答弁がありました。
さらに協働推進部長からは、
- 既存アンケートへの買物環境に関する項目の追加を検討する
- 移動販売やネットスーパーなど、短期的な手段について事業者とのやり取りを進めている
- コンビニやドラッグストアなども買物環境維持の担い手として考える
- 地域特性に応じた持続可能な買物環境を考えていく
という答弁がありました。
今後は、
「実態把握が実際に行われたのか」
「どの地域に、どのような課題があると分析したのか」
「現在困っている方への支援につながったのか」
「地域ごとの買物環境維持に、どのような施策を組み合わせるのか」
を確認していきます。
買物は、毎日の生活そのものです。
地域によって暮らし方が違うように、必要な買物環境も違います。
市内を一つの平均値で見るのではなく、地域ごとの違いを丁寧に捉えながら、将来にわたって日常の買物ができる環境を考えていきたいと思います。

